PRP-FD注射とは

PRPとは?

PRP-FDについてご説明するにあたって、まずはPRPとは何かというところから解説します。
PRPは Platelet-Rich Plasma の略称で、多血小板血漿とも呼ばれます。血液中の血小板濃度が高い液体成分とお考えください。これを患部に注入する治療がPRP療法です。血小板が分泌する成長因子(グロスファクター)の組織修復能力に着目して開発されました。血液を採取するだけで受けられる手軽さから、アスリートのケガの治療には以前から使用されています。

PRP-FDとは?

血小板が分泌する成長因子のみを抽出し、これを活性化させ、さらにフリーズドライ(FD)加工したものがPRP-FDです。治療の要となる成長因子の量は、PRPの2倍に達します[1]。ひざ関節内や靭帯などに注射で投与することで自己修復能力を一時的に高め、痛みや機能の改善を後押しする効果が期待できます。当院では、これまでに21,700例もの方々にひざへのPRP-FDの治療を行なってきました。この間、重篤な副作用もなく、多くの症例で変形性ひざ関節症への有効性が確認されています。

<治療の流れ>

  • 1.採血

    患者さまの血液を50mLほど採取いたします。
    少量なので、貧血気味の方もご安心ください。

  • 2.PRPの作成

    採取した血液を専用のキットに入れ、遠心分離にかけます。
    これによって血小板成分を濃縮したPRPを抽出します。

  • 3.細胞加工

    無菌管理した空間で、PRPに含まれる余分な細胞を取り除いていきます(無細胞化)。
    また、血小板から分泌される成長因子を活性化し、濃縮します。

  • 4.フリーズドライ加工

    専門の細胞加工施設で、無細胞化した成分をフリーズドライ(FD)化します。
    フリーズドライ加工することで、長期保存が可能になります。

  • 5.注入

    PRP-FDを生理食塩水で溶かし、これをひざ関節に注射します。
    処置は数分で完了です。

このような方におすすめします

以下に当てはまる項目がある場合は、PRP-FDがお役に立てるかもしれません。
該当する方は、お気軽にご相談ください。

□ 医者から人工関節置換術を受けるよう勧められた□ 5年以上痛みが続いている□ ヒアルロン酸注射を受けても効果が持続しない□ 痛みのために、外出を控えてしまう□ 寝返りのとき、痛みで目が覚める□ 階段の上り下りが辛い□ ひざを動かすとツッパリ感がある□ ひざを曲げるとゴリゴリ音がする□ よくひざに水がたまる

<当院がPRP-FD注射をおすすめする理由>

1.治療の要である「成長因子」を豊富に含んでいるから
PRP-FDには、一般的なPRPの2倍の成長因子が含まれます[1]。このため、より強力な痛みの改善効果と組織の修復作用が期待できます。

2.豊富な成長因子による多種多様な効果が期待できるから
血小板が放出する成長因子には多くの種類が存在し、働きもさまざです。ひざ痛治療では、コラーゲンを産生する作用、細胞を呼び寄せる作用、細胞分裂を活性化させる作用がキーになります。

成長因子の種類 主な働き
PDGFa-b 組織の修復に関わる細胞分裂を促進
コラーゲン産生
TGF-β
(トランスフォーミング)
損傷組織や筋細胞の修復
コラーゲン産生
VEGF 血管の形成に関与
炎症抑制に働く細胞の増殖
bFGF/EGF 軟骨細胞や骨芽細胞の増殖を促す
骨や血管の再構築を促進させる
CTGF 軟骨の修復や線維化を促進
血小板を付着させやすくする
KOOS(クース)とは、日常生活動作、痛み、生活の質、症状、運動機能という5項目から、膝の状態を評価する指標で、数値が高いほど改善を意味します。この研究によると、治療後12ヵ月経過した時点でも改善効果は持続していました。

3.長期的な効果の持続が期待できるから
変形性膝関節症に対するPRP治療では、治療後1年間は疼痛緩和や機能改善においてより多くの利益をもたらすとする研究報告もあります[2]。当グループでも、同様の効果持続が確認できています[3]

安全性・治療後の注意点

注射だけで行うことができる治療なので、治療に伴う大きな制限はありません。ただ、治療後の生理的反応を助長させたり、リスクを高めないためにも、以下の点にご注意ください。

1.PRP-FD注射を行った当日は、入浴は控えシャワーのみにしてください。翌日から入浴可能ですが、治療後2〜3日は長湯は避けてください。2.患部が腫れることがあるので、治療後2〜3日は運動は避けてください(治療部位に腫れ等がなければ再開可能です)。3.治療後1〜3ヵ月ほどは、なるべく膝に過度な負担をかけないようにしてください。具体的には長時間の歩行や、階段昇降は禁物です。ただし、負荷の少ない太ももの筋トレやひざの曲げ伸ばし運動などは積極的に行ってください。

<知っておいていただきたいリスク>

PRP療法は、ヒアルロン酸や生理食塩水の投与との比較において、有害事象のリスクを上昇させないことが報告されています[2]。PRP-FD注射では、関節内の感染、血栓、敗血症、アレルギー反応、関節内出血といったリスクが考えられますが、当グループの21,700例に登る過去の症例では、このような事象は見らていません。
ただし、注射に伴う感染、神経・血管損傷のリスクはゼロではないので、不安な症状などありましたら速やかにお申し出ください。

費用について

PRP-FD注射の費用については、料金ページにてご案内しております。また、当院の治療は自由診療になりますが、医療費控除制度が適応される場合があります。併せて内容をご確認ください。

よくある質問

効果が実感できるまでどのぐらいかかりますか?

早いと2週間ほどで膝の痛みの軽減を実感したという方もいらっしゃいますが、多くの場合、概ね1ヵ月ほどで効果をご実感いただけるようです。ただし、治療前のひざの状態によっても効果は違ってきますので、その点はご留意ください。

注射は何度も行う必要があるのでしょうか?

ケースバイケースとお考えください。1回の投与で痛みの改善を実感されるケースも多く見受けられるのは事実です。ただ、変形性膝関節症が進行していたり、損傷や変形が大きい場合には、数か月おき2〜3回に追加投与を行うこともあります。
初診の診断ではそのあたりの見込みなども含め、最適な治療プランをご提案させていただきます。

この治療が受けられないのはどんな場合ですか?

悪性腫瘍、重度の糖尿病、感染症をお持ちの方は適応となりません。
悪性腫瘍をお持ちの方については、PRP-FDによって腫瘍の増殖が後押しされる可能性が否定できないため、適応外とさせていただく場があります(PRP-FDには複数の成長因子が含まれており、これらの中には腫瘍の増殖を後押しする働きを持ったものが含まれる可能性があります)。
また、糖尿病の方については、血液の固まりやすさ(凝固能)を増幅させる危険があることから、重度の糖尿病の方への投与はお断りすることがあります。血液が固まりやすいと、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる疾患を引き起こす危険が高くなるからです。
感染症についても同様で、血液が固まりやすくなっていることから、その危険性を考慮して投与を見合わせることがあります。

変形性膝関節症以外は適応になりませんか?

いいえ。関節周囲の炎症性病変(靭帯や腱の炎症)、靭帯や半月板の損傷といったスポーツ外傷も適応になります。
変形性膝関節症に関しては初期から末期まで病期を問わず対応可能ですが、再生医療の効果が見込めないと判断した場合は、適応外となることもあります。いずれにせよ、診察の上決定させていただきます。



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